海外旅行で、言いたいことが英語で出てこない。
そんな経験が、いくつかあります。
おもしろいことに、困ったのは英語圏ではないところでした。
私が行った韓国と台湾では、日本語が通じる場所が多くありました。ハワイでも、言葉で困った記憶はありません。
けれど、セブ島・パリ・イタリアでは、言葉が出てきませんでした。
次の旅行のために、その3つの場面をChatGPTに相談してみました。
困ったのは、英語圏じゃないところ
まず、何が起きたのかをお話しします。
セブ島のタクシーで、メーターを隠された
ショッピングモールへ行くのに、タクシーに乗りました。
行き先は、ホテルの方が運転手さんに伝えてくれました。ここまでは順調です。
ところが、レンタルWi-Fiがうまく動きませんでした。
いま、どこを走っているのか分かりません。
窓の外は知らない景色。メーターだけが、どんどん上がっていきます。
遠回りされているのではないか。そう思って、メーターを覗き込もうとしました。
すると、運転手さんが、メーターを見えないようにしたのです。
ますます不安になりました。でも、なんと言えばいいのか分かりません。
「このルートは最短ですか」——そう聞きたかったのに、英語になりませんでした。
結局、ちゃんとモールには着きました。でも最短だったのかは、いまも分かりません。
いま思い出すと、笑える光景です。そのときは、不安でいっぱいでした。
パリで、パスポートを見せろと言われた
観光地を歩いていたら、声をかけられました。
警察官らしき人が、パスポートを見せろと言うのです。
おそらく、本物ではなかったと思います。 観光地でいきなりパスポートを求められるでしょうか。
でも、言い返す言葉が見つかりませんでした。
私はその場を離れました。
イタリアで、手袋を忘れた
買ったばかりの革の手袋を、お店に置いてきてしまいました。
しばらく歩いてから気づいて、慌てて戻りました。
うまく英語は言えませんでした。 それでも、お店の方が察してくれたのです。
「これだろう?」という顔で、手袋を出してくれました。ちゃんと保管してくれていました。
そして、なぜか拍手が起きました。食事中のお客さんも一緒に。
イタリアらしいなと思いました。
3つ並べて、分かったこと
書き出してみて、気づいたことがあります。
イタリアの手袋の場面では、言えなくても大丈夫でした。
手袋を探しているという状況が、その場にいる人には見えていたからだと思います。相手が察してくれる場面では、言葉がなくても通じます。
けれど、パリとセブは違いました。
- パリ——断りたいのに、断れなかった
- セブ——確かめたいのに、確かめられなかった
どちらも、相手が察してくれる場面ではありません。こちらの意思を、言葉にして伝える必要がありました。
言葉が要るのは、断るときと確かめるとき。
この2つを押さえておけば、少し安心して出かけられそうです。
ChatGPTに、言いたかった一言を聞いてみた
そこで、3つの場面をそのまま相談してみました。
返ってきた答えが、思っていたのと違いました。
50代で英語が得意でないなら、難しい英文を覚えるより「短い一言」を何個か持っておくのがいちばん実用的です
長い例文を教えてくれると思っていました。そうではなかったのです。
出てきたのが、この6つでした。
| 場面 | 英語 | カタカナ |
|---|---|---|
| 見せてください | Please show me. | プリーズ ショウ ミー |
| 見てもいいですか? | Can I see it? | キャン アイ シー イット? |
| 身分証を見せて | Can I see your ID? | キャン アイ シー ユア アイディー? |
| まず確認したい | I need to check first. | アイ ニード トゥ チェック ファースト |
| ここに置き忘れました | I left it here. | アイ レフト イット ヒア |
| ちょっと不安です | I'm not comfortable. | アイム ノット カムファタブル |
どれも短いです。そして、この中でも3つを最優先で覚えるように、と言われました。
- Please show me.(見せて)
- Can I see your ID?(あなたの身分証を見せて)
- I left it here.(ここに置き忘れた)
たしかに、これなら口から出そうです。
私が覚えるのは、AIの3つとは違います
ただ、並べてみて迷いました。
6つの中で、私が思いつかなかったのが Can I see your ID? です。
パリの場面について、ChatGPTはこう書いていました。
「パスポートを見せろ」と言われたら、こちらも相手の身分証を確認する、という発想です
たしかに、考えもしませんでした。
あのとき私は、見せるか見せないかで迷っていました。相手に見せてもらうという選択肢が、頭になかったのです。
ただ、これを実際に言うとどうなるでしょう。
相手が本物でないなら、問い詰めることでもめるかもしれません。
AIは、その場の空気までは知りません。 目の前の相手が何人いるか、周りに人はいるか、逃げ道はあるか。返ってくるのは言葉だけです。
私はあのとき、その場を離れました。いま考えても、それでよかったと思っています。
知っておくことと、使うことは別でした。
そこで、覚える3つを選び直しました。
- Please show me.(見せてください)——確かめる
- I need to check first.(まず確認したい)——確かめる。すぐには応じない、とも言えます
- I'm not comfortable.(ちょっと不安です)——断る
Can I see your ID? は外しました。 相手に見せてもらうには、こちらから求めることになります。それが安全かは、そのときの相手しだいです。
I left it here. も外しました。 イタリアの手袋は、言わなくても通じたからです。
どれも、断るときか確かめるときに使う言葉です。私が困ったのは、たいていこの2つの場面でした。
スマホで訳せても、片言で話したい
いまはスマホで訳せます。
私も使っています。韓国でコスメを買うときは、成分をカメラで写して確認しました。読めない文字も、かざせば分かります。
ただし、地図を見たり、AIに聞いたりするには、海外でネットにつながっていることが前提です。海外でスマホを使うための準備も、ChatGPTに相談しました。
→ ChatGPTにeSIMを相談したら、私に合った海外ネットを選んでくれた
買い物や表示を読むときは、スマホがあればかなり助かります。
でも、人と話すのは別の話だと思っています。
イタリアで手袋を探したとき、もしスマホを取り出していたら、どうだったでしょう。
画面を見せて、正確に伝わったかもしれません。
でも、あの拍手はなかったと思います。
うまく言えない私と、察してくれたお店の方と、それを見ていたお客さん。あの場が生まれたのは、たどたどしいやりとりがあったからです。
だから私は、こう思っています。
訳す道具は、備えとして持っておく。話すのは、自分で。
断るときと確かめるときの一言を用意しておけば、あとは片言でいい。困ったらスマホに頼ればいい。そう思えると、気が楽になります。
そのまま使えるプロンプト
私がChatGPTに送った文を置いておきます。
フレーズ集を探すのではなく、自分が固まった場面を思い出すのがコツでした。
海外旅行で、言いたいことが英語で言えなかった場面が3つあります。 それぞれ、何と言えばよかったか教えてください。 発音のカタカナも付けてください。
1.(場面と、言いたかったこと) 2.(場面と、言いたかったこと) 3.(場面と、言いたかったこと)
英語が得意でない50代です。短くて、覚えやすい言い方がいいです。
「短くて、覚えやすい言い方がいい」と書いたのが効きました。
この一言があったから、短い言い方だけが返ってきたのだと思います。
自分の場面でないと、意味がありません
「旅行英会話100選」は、探せばいくらでも見つかります。
でも私が本当に困ったのは、メーターを隠されたときと、パスポートを求められたときでした。そういう一覧に、自分が実際に困った場面にぴったりの言葉が載っているとはかぎりません。
自分が固まった場面を3つ思い出す。それだけで、自分専用の一覧ができます。
数字や条件をAIに任せきりにしない話は、こちらにも書きました。
→ ChatGPTはどこまで信用できる?|最終のバスは4時間前でした
まとめ|覚えるのは、断る言葉と確かめる言葉
海外旅行の英語で困ったのは、英語圏ではないところでした。
3つの場面を並べて、分かったことがあります。
- 察してもらえた場面では、言わなくても通じた(イタリア)
- 断るとき・確かめるときは、一言あると安心(パリ・セブ)
- だから、その場面で使う3つを用意しておく
用意しておくと、かえって気楽に話せます。 困ったらスマホがある、と思えるからです。
12月に、また出かける予定があります。
行き先はチェコです。あいさつも知らないので、ChatGPTに先生役を頼んで練習をはじめました。
→ ChatGPTで語学学習|音声入力で、発音がどう認識されたかがわかる
スマホは使います。でも、話すのは自分で。
小さな一歩から、AIのある暮らしが始まります。





