玄関に、防災リュックをひとつ置いています。
昔、大きな地震を経験しました。
水も、ガスも、電気も止まる。あのときのことは、体で覚えています。
だからリュックは、早いうちに用意しました。
水や食べものは、ときどき入れ替えています。
それでも、中身を全部出して並べたことはありませんでした。
地震のニュースを見るたびに、これで足りているのかと気になります。
そこで、ぜんぶ出して、AIに点検してもらいました。
出してみたら、思っていたよりちゃんと入っていました
自分でも驚きました。思っていたより、ずっと入っていたのです。
出てきたのは、こんなものでした。
- 水、保存食(缶入りのビスコ、5年もつ羊羹)
- 携帯トイレ2種類(無印の非常用トイレセット3日分と、凝固剤4回分)
- 手回しで充電できるラジオライト、充電式のランタン
- 緊急用の呼子笛、はさみとピンセット
- アルミブランケット、吸水タオル、防災用の靴下、軍手
- ラップ、ティッシュ、ウェットティッシュ、歯みがきシート
- レインコート、汗ふきシート、生理用品
そして、娘が小さかったころの写真を入れたフォトブック。
持って逃げるものを選んだとき、これを入れた自分がいました。
買ったときの私は、ちゃんと考えていたようです。
思い出せたのは、この程度
最初は、リュックの中身を確認しないまま、AIにチェックを頼みました。
中身を思い出しながら書き出して、そのまま伝えたのです。
「水、軍手、スリッパ、銀色のシート、懐中電灯、ラップ、缶ビスコ、羊羹」
何年も玄関に置いてあるのに、出てきたのはこれだけでした。
するとAIは、まず携帯トイレを足しましょう、と答えました。当然です。私が書き出したリストに、携帯トイレが無かったのですから。
けれど実物を出したら、携帯トイレは入っていました。しかも2種類。
入力した情報が正しくなければ、返ってくる答えも的外れになります。
面倒でも、中身を実際に出してからAIに聞いてみる。それだけで、点検の精度は変わりました。
抜けていたのは、家に置く備えのほう
では、私の備えは十分だったのか。そうではありませんでした。
足りなかったのは、リュックの中身ではありません。
家に置いておく分が、ほとんど無かったのです。
リュックは、外へ出るためのもの
リュックは、建物が危ないときに持って出るものです。
背負って歩ける重さでなければ、意味がありません。
だから、入れられる量にはかぎりがあります。水なら1〜2リットルほどです。
私のリュックは、この役目としてはできていました。
家の備えは、そこで過ごすためのもの
一方で、建物が無事なら、家にとどまることになります。
在宅避難と呼ばれる過ごし方です。
このときに要るのは、リュックには入りきらない量でした。
| 目安 | |
|---|---|
| 水 | 1人1日3リットル。最低3日分、できれば1週間分 |
| 食べもの | 食べ慣れたものを多めに買い、食べたら買い足す |
| 携帯トイレ | 1日5回×日数×人数 |
| そのほか | カセットコンロとボンベ、大きなポリ袋、電池とラジオ |
携帯トイレは、東京都の案内では「1日5個×3日分×家族の人数」が最低限の目安とされています。
1人分でも3日で15回。1週間なら35回です。
リュックには19回分ありました。持ち出す分としては足りています。
足りなかったのは、家に置く分でした。ゼロだったのです。
東京都の調査では、携帯トイレを3日分以上備蓄している都民は約23パーセントだそうです。
1階だと書いたら、私に合った観点を教えてくれました
私が足したのは「古いマンションの1階に住んでいます」という一行です。
返ってきたのは、こんな一言です。
「リュックや備蓄は床に直接置かず、棚など高いところに」
浸水を考えてのことでした。1階は、水が入ってくれば最初に届く高さだからです。
家具が倒れて避難の通り道をふさがないか、という指摘もありました。
たった一行で、答えが自分の家の話になりました。
私が使ったプロンプトを置いておきます。
かっこの中を、ご自分の家に合わせて書き換えてください。
防災の備えを点検してください。
【住まい】(戸建て/マンション○階、地域) 【家族】(人数と年代、ペット) 【いま用意しているもの】 (リュックの中身をぜんぶ書き出す) 【気になっていること】 これで足りているのか、自分では判断がつきません
次の3つに分けて教えてください。
- いまのリュックに足りないもの
- リュックとは別に、家に置いておいたほうがいいもの
- ペットのために用意しておくもの
住まいや家族のことをAIに伝えるのは、少し気になるかもしれません。
どこまで書くかの線引きは、こちらにまとめています。
→ ChatGPTに個人情報を入れて大丈夫?|線引きは「知られて困るか」
猫の避難は、別に考える必要があります
我が家には猫がいます。
猫のために用意するものを、AIに挙げてもらいました。
- フード、水、猫砂は1〜2週間分。支援物資はペット用まで届きにくい
- キャリーバッグは、普段から中で過ごせるように慣らしておく
- 首輪と迷子札、マイクロチップの登録内容の確認
- ワクチンの記録と、全身がわかる写真
キャリーは、いつも出しっぱなしにしています。
それでも、入ってほしいときにかぎって入ってくれません。
うちで頼りにしているのは、子猫のころから使っているケージのほうです。
ごはんもトイレも、普段からその中でするようにしてもらっています。
私たちが家にいられなくなっても、しばらくそこで過ごせるように。
当日になって、どうにかできることではありません。
そしてもうひとつ、AIには答えられないことがありました。
避難所がペットを受け入れるかどうかは、自治体によって違います。
「同行避難」は、ペットと一緒に避難すること。「同伴避難」は、避難先で同じ空間で過ごすこと。この2つも別のものです。
これは、お住まいの市のサイトで確かめるほかありません。
AIに聞けること、自分で確かめること
同じ点検を、ChatGPTとClaudeの両方に頼んでみました。
大事なところは、どちらも同じでした。家の備えが足りない、という指摘も一致します。
ちがったのは、細かいところです。
- 1階の浸水に触れたのは、片方だけ
- 猫を運ぶときの洗濯ネットを挙げたのは、もう片方だけ
AIの答えは、それで全部とはかぎりません。
抜けに気づけたのは、2つ並べて見たからでした。
→ ChatGPTとClaude、両方使っています|私の使い分け
AIに聞いても答えが出ないことは、ほかにもありました。自分の建物が地震にどれだけ耐えるか。こちらは自治体の耐震診断で調べられます。
家ごとに答えが違うことは、自分で確かめるほかありません。
AIは、抜けを見つける相手としては頼りになりました。
まとめ|忘れるから、ときどき確認する
リュックを点検してもらって、わかったことは4つでした。
- 中身は実際に出してから聞く。記憶で書くと、答えが的外れになる
- 逃げるためのリュックと、家で暮らすための備えは別物
- 住まいの条件を伝えると、答えが自分の家の話になる
- 猫の備えは、人とは別に用意する
用意したときの自分は、ちゃんと考えていました。
そのあとの年月で、忘れてしまっただけです。
全部を今日そろえる必要はありません。
高いものをそろえる必要もありません。足りないものから順に足していけば十分です。
毎月2つか3つずつ足していけば、1年で形になります。
私はまず、家に置く水と携帯トイレから始めます。
AIに何を聞けばいいか迷ったら、こちらも参考にしてください。
→ ChatGPTに何を聞けばいい?そのまま使える質問例20
小さな一歩から、AIのある暮らしが始まります。
参考文献
- 農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」(maff.go.jp)
- 東京都「自宅での避難生活に役立つ今すぐできる防災アクション もしもの時に困らないトイレの備蓄」2025年9月1日更新(koho.metro.tokyo.lg.jp)





